川 本  将 人

テンプル・バー、パーラメント・ストリート
PUB CRAWL TOUR 2007
「パブ巡りの旅 2007」
It's a poor street without PUB in it.

パブのない通りは貧しい通りだ。

vol.1

高いところから眺めたダブリンの風景
                                     
「2007 Trip to Ireland」

ダブリンの風景


ダブリンの街角の街路灯には
よく見るとシャムロック(クローバー)が



こんなモダンな路面電車が走っています。


リフィー川沿い
気分良くお散歩できます。


Old Jameson Distilleryの煙突。
下から見上げるとえらく高い感じがする。


煙突の展望台から眺めたダブリンの町













改装中ですが…
Old Jameson Distillery












GUINNESS DUBLIN BREWALY


有名な正面玄関
「セント・ジェームス・ゲート」


ギネスの仕込み水が滝になって流れま〜す


アトラクション的な展示

とにかく広い工場!







工場内には観光客目当てにこんなのがいたりします。


様々な年代、タイプの瓶が並ぶ展示
かつてのロンドン・パブ・ギネス(日本市場向け)
のボトルを発見!



キルケニーのブリュワリー
あのキルケニーのフォントに描かれた門。
セント・フランシス・アビーの門は工場の中に!?
ここでキルケニー、作っているのでしょうか?


KITTELER'S INN
魔女アリス・キテラー夫人の家であったところ。
現在は素敵なカントリー・パブになっている。
←やはりここではKILKENNYを一杯。
↓カウンターに並んだタップの数々。

キルケニーの町にはこんな素敵な小道があったりする。

キルケニーのパブは何処も入ってみたくなる。
12nd Feb. 
NRT〜DUB

ダブリンのホテルの部屋にて
 
はじめてのダブリンへの旅は、風邪をひいて少々体調のすぐれない私にとっては一層長く感じられた。耳抜き出来ず結構辛い。ヒースローで時間をつぶしながらハイネケンを一杯。ダブリンへのフライトは遅れている。ダブリン行きが飛び立った頃には私は眠りに落ちていた。
気がつくと飛行機はすでに着陸寸前であった。はじめてのダブリン空港は大きすぎず親しみやすかった。早速、荷物を抱えタクシーを拾う。滞在先の宿までお願いした。車内にはトム・ウェイツが流れていた。いかにも気の良さそうな運転手さんが場所を仲間に聞きながらホテルの前まできちっと届けてくれた。
今回の宿はダブリンでも最も賑やかな地区の真ん中にある安宿だ。フロント女の子の無表情さがそれらしい。早速ギネス目指して街中へ。一軒目はTHE TEMPLE BAR、ライブをやっていて盛り上がっている店内。ギネスを片手にウロウロ。日本と同じ味がするはずのギネス。幾分コクと苦味が強く感じられるのは空気のせいだろうか。パイントをゆっくりと飲みしばし散歩へ。小雨も少し降ったり寒い。帰りにTHE TEMPLE BARに再び顔を出し今度はアイリッシュコーヒーを注文。寒いときにはこれがたまらない。クリームを少々泡立てすぎなのは残念だが体を温めるには十分な美味しさだった。ダブリンの初夜はこうして終わった。


13th Feb. 
Dublin PUB CRAWL 〜ダブリン パブ・クロウル〜

テンプル・バーにあるTHE QUAYS BAR
フードありライブありのいかにもなアイリッシュ・パブ。

 アイルランドの空は英国にならい一筋縄ではいかない。曇り空で時々小雨がちらついたりもするが、さほど寒さは感じられない。世界的な暖冬らしくアイルランドの気候も穏やかである。はじめての街並みは昼間に歩いてみると建物が低く、道も比較的狭く大都会の冷たさがない。リフィー川の位置さえ頭に入っていれば道に迷うことは無さそうな街である。
ウィスキーもギネス同様、アイルランドが生んだ偉大な酒である。現在はその世界一の地位はスコットランドに取って代わられてしまった感があるが、第一次大戦くらいまでは、ここダブリンで作られるジェムソンは世界中に輸出されその親しみやすい味わいで世界の人々を魅了していたそうである。しかし今ダブリンではウィスキーは作られていない。かつてジェムソン蒸留所があった敷地にはジャムソンの歴史を伝える展示施設がある。かつて蒸留所が機能していた頃に働いていた煙突は今ではエレベーターがつけられ展望台に姿を変えている。まだ良くわからない街を高いところから眺めて行き先を決めようと思いオールド・ジェムソン蒸留所へ向かった。蒸留施設はリニューアル・オープンのため工事をしていた。残念ながら展示施設は見ることが出来ず、バー&ショップの見学をした。かつての蒸留所のランドマーク的な存在の煙突は下から見上げるととてつもなく高く見えた。エレベーターで展望台まであがるとダブリンの街を一望するには十分な高さだということがわかった。高い建物のない街並みは上から眺めると何処に何があるのかがはっきりわかった。目立つ建物といえば、教会の尖塔。そしてギネスの工場のタンクだった。
2007年3月まで設備改装の為お休み。。。
見学できず、残念!

昨晩楽しんだアイリッシュ・コーヒーのグラスが気になっていた。グラスを探すために街を歩くことにした。翌日はヴァレンタイン・デーということもあり街中のウィンドーはどこもキラキラにディスプレーされていた。ギフト・ショップ、スーパーなどを手当たり次第に歩き回る。途中には市もあり果物、野菜、魚などを売る露天が並び、花屋は盛んにヴァレンタイン向けの綺麗な花を売っていた。
こちらのヴァレンタイン・デーは愛する人と過ごす日なのだ。別にチョコレートの日ではないのはいうまでもない。"愛する?"これは実は難しい言葉らしい。元来日本語には愛(する)という言葉はなかったそうである。愛をとく宗教は他でもないキリスト教だ。そういえば、アイルランドは熱心なカトリックの国だから街を歩いているとそんなこと考えるのかもしれない。人は人生でどれくらい「愛してる」というのだろうか。日本語の愛(してる)は意味があやふやな部分もなくはない。しかし欧米(キリスト教圏といってもいい)における愛(してる)は、本来は、たとえば恋人同士であっても好きの代わりに使う言葉ではなく、愛してると伝えたとき、それはとてもシリアスな意味を持つ。だから少し好きなくらいのパートナーには愛してるとは言わないのが本来だそうだ。また「愛してる」という言葉は近くにいる大切な人に対してはしばしば使われる。大切な友人とか両親とか兄弟とか。何でそんなことを考える?知らない街を歩き回るのは頭の中の普段刺激されない部分が刺激される。いつもは考えないことを考えてみたり、いつも感じないことを感じたりする。これも旅の醍醐味の一つだ。
陽も西に傾きかけた頃、食器や雑貨を並べた店に入ると色々な銘柄のパイントグラスが売られていた。その中に混じってアイリッシュ・コーヒー用のグラスを発見!早速、6脚手に入れる。今年は世界的な暖冬でアイリッシュ・コーヒーの売れ行きは今ひとつだが、残りのシーズン、このグラスを使ってアイリッシュ・コーヒーを提供できるのはバーマンとして非常に嬉しい。
Oliver St.John Gogarty

宿に荷物を置きパブ・クロールに出発。今夜はどうしても本場でのオイスターにギネスを試したくて、シーフードを食べさせるレストランを物色。なかなか見つからず結局、アイルランド料理を売りにするOliver St.John Gogartyまでテンプル・バーを歩く。この界隈はレストランやパブがたくさん並びパブが観光の目玉になっているその中でも今夜の最初に決めたOliver St.John Gogartyは観光客にも人気がある。一階は普通のパブで三階建ての建物が全部この店である。三階がお目当てのレストランだ。まずは一階のパブへ。中は多く人たちで賑わっていた。今日の一杯目はキルケニーを試す。飲みなれた味にホッとするがギネスに感じたような大きな差を感じなかった。ここのパブは大きいだけに中が入り組んでいる。トイレに行こうとウロウロしているとスモーキング・プレイスなるものを発見。
smoking area の内部
←この恍惚の表情のお姉さんがスモーキングエリアに誘ってくれます。
パブは全面禁煙のはずなのに???その場所は外に作られ柵で通りと隔たれている。とても暖かい暖房装置が備え付けられている。アイデアに感心させられる。確かに外なのだから全面禁煙の場所にはあたらないのだ。ここで一服していた女性と少し会話を交わした。彼女は日本に行ったことがあるらしく、そんな話しをしながら会話は次第に前面禁煙について。最後の煙を吐き出しながら何でこんなとこでタバコ吸わなきゃいけない国になったんだろうね。といいながら彼女は席を立って賑やかな店内へ戻っていった。
三階に上がるとレストランには数組の客が楽しそうに会話を交わしながら食事をしていた。席に通され、早速オイスターを注文。メインコースなしのオイスターのみの注文は少し困った客扱いではあったようだが…オイスターにギネスは実にうまい。シンプルにレモンとタバスコ少々だけでオイスターを頂きギネスをやる。隣のテーブルを見ているとボトルのワインにそれぞれのメイン・コースが運ばれてきたようであった。すごい量だがどれも美味しそう。つられてアイリッシュ・シチューとグラスの赤ワインをオーダー。一人で食すには大きすぎる。大変味わいは結構でパセリをふんだんに使ってラムの嫌な臭みがない。食後にはアイリッシュ・コーヒーを飲んだ。昨晩のものに比べクリームのあわ立て具合は好ましいがシナモンは蛇足かも。満腹で暖かくなたところで散歩しながら次のパブへ。
temple brau
苦味の利いた自然派、完全アイルランド産ラーガー
The Place BARはテンプル・バーから少し外れたところになる古いパブである。本などでも写真をよく目にする。少し重たいドアを押して中にはいるとテンプル・バーの賑やかなパブとは異なり落ち着いた雰囲気。テンプルブルーという地元のラーガ―を注文。奥の席に座りラーガ―をすすった。苦味が強くとてもラーガ―らしい素敵なビールだった。この店は全体的に年齢層が高め。天井が高く、BGMがない店内には大人の会話する声だけが響いているようなパブであった。ゆっくりと落ちついてビールを空にし次なる目的のパブMulligan'sへ。この店も古いタイプのパブで入り口は狭いが中に入ると暖炉があるスペースがあったりとゆったりしている。食事もたっぷりとりビールでお腹も膨れてきたのでひとまずブラック・ブッシュで一休み。ジェムソンと言いたいところなのだが、味的にはやはりこちらを選んでしまう。暖炉の近くの席でゆっくりとアイリッシュ・ウィスキーのすっきりとした香りを楽しむ。ここのパブでは東洋人の若者も働いていた。やはり比較的落ち着いた雰囲気でウィスキーを美味しく楽しませていただいた。ウィスキーで体も温まって勢いがついてきた。
創業1782年!
The Stag's Head
次なる標的はThe Stag's Head。こちらは観光ガイドにも載っている有名なパブ。名前がいかにもそれらしい。カウンターの中にはその名の通り牡鹿の頭の剥製が飾られている。少し散歩でお腹も落ちつおいてきたのでギネスを注文。バーマンが「日本から?」と声をかけてきた。そうだと伝えると彼も日本にいったことがあるらしく、とても楽しい滞在だったようだ。ぼくもアイルランドを楽しんでいる。お互いにお互いの国を讃えあえるのはとても平和でいい気分だ。気分良くパイントを空にし込み合った店内を抜けて外へ出た。外はさほど寒くなく気分良く帰路へ着く。
途中楽しそうな音楽で賑わっているThe Quays出足が止まった。早速中に入るとライブで大盛り上がり!まるで満員電車のごとく込み合った店内はよく言われるアイリッシュパブそのもの。柱には鏡が仕込んであったり内装もいかにも典型的なアイリッシュ・パブだ。一杯の予定が杯を重ね2パイントのギネスを平らげそのパブを後にした。
もう帰るはずが、パブはほとんどの店が閉店していたがクラブは賑わっているようだったのでフラッとCLUB Mへ。店内に入ると…確かにクラブ。でもカウンターにはギネスのタップ。ここでもギネスを注文。クラブでギネスって日本ではない光景だ。それはそれで御当地ならでは。しばし飲みながら、フラフラしながら楽しんだ。今日は飲みすぎ、記憶も少し怪しい。宿は近くだったが少しの道のりはえらく、えらく長かった。路上で寝てしまうことはなかったが、道端で佇んだ。ダブリンの街を歩きながらいろんな夢を見たような気がする。とてもセンチメンタルな気分になった。今のこの幸せなときが、このときが永遠に続いてほしいと思った。続かないのなら、時を止めてしまいたい。いっそのこと、エディンバラ行きの飛行機を海に沈めてくれ。



14th Feb.
〜Difference of GIUNNNESS 〜GUINNESSの味の違い!?

テンプル・バーにてパブ・ランチ
「ダブリン・コッドル」

 今日は昨日の飲みすぎのため行動遅め。朝食をとり部屋で書類の整理等をし、外に出て日本に電話をかけた。みんなが元気なのを確認して部屋に戻り身支度を整えて。ギネスのブリュワリーへ向かうことにした。そろそろ昼食にちょうどいい時間だったのでパブでランチをする事にし、近くの店に立ち寄る。TODAY'Sはダブリン・コッドルだったのでこれを注文。飲みすぎた翌日にはやさしいランチであった。
ギネスの工場のタンク郡。
かつてはわが町にもこれの小さいのがありましたっけ…

 リフィー川沿いに散歩がてらいい気分で歩く。ここは言うまでもなくダブリン観光の目玉の一つ。遠くからでもギネスの工場の敷地の広さはそれとなくつかめる。巨大なタンクが並び、何本もの煙突が見える。有名なセント・ジェーム・スゲートを過ぎて見学施設へ向かう。かつての工場の一部の施設を改装し見学施設に仕立ててある。ギネスつくりの工程がまるでディズニーランドのアトラクションのごとく楽しめる。一通りの見学を済ませ最上階のBARへ。展望台のような見晴らしのいいBARだ。見学の料金にはキッチリとパイント一杯も入っている。早速ギネスを注文。綺麗にシャムロックやハープの描かれたパーフェクトパイントを出してくれる。手元にくるまでキッチリ注ぐので2分程待たなくてはいけない。!!こんな香り!、こんな味のギネスは飲んだことがない。香りにはロースト香が感じられ後味にホップの苦味と香りが残る。ダブリンの街中のパブのギネスと日本のパブのギネスの味も違うように思うが、ここのギネスは全く別物と言ってもいい。さすが作りたてのせいなのか注ぎ方の問題なのかとにかく驚く。二日酔いと言うか、まだ酔っていると言うか頭が冴えないがこのギネスの味は衝撃的だった。
シャムロック ハープ
ギネス・ストアハウスの最上階のバーで供されたパーフェクト・パイント!

ダブリンの街には酒屋があまりない。せっかくなので一軒くらい酒屋へと思い最も有名なMitchel&Sonsへ向かう。ここはキルデア・ストリートにあり、この通りにはアイルランド国立博物館もある。少々道に迷いながらも先ずは博物館にたどり着いた。ここは無料で見学できる博物館でパンフレットも日本語のものも用意されていた。アイルランドの古代からの歴史がそれぞれ展示されている。のんびりと見学を済ませMitchel&Sonsへ。ここはアイルランドのBBRのようでワインのストックに定評がある。ウィスキーはここのオリジナルのグリーン・スポットが有名だ。綺麗に陳列されたワインを見たり、古いボトルのグリーン・スポットやミッシェル詰のボルドーを眺めたりしたが、買うべきものは見当たらなかった。帰り道ゲームセンターでピンボールで遊んだが、新しい機械なので今ひとつ。再び散歩しながら本を買ったりしながら一度宿へ戻る。ちょっと昼寝をしようか。
Mitchel & Sons Wine & Spiirits marcahant

ZZZ…起きたら深夜12時近く。そのまま寝てしまおうかとも思ったがお腹がすいたので外へ出ることにした。ヴァレンタイン・デーの夜は多くの人で賑わっていた。酔っ払って若いおにいちゃんに絡んでいるおねえちゃんや恋人たちが町にあふれている。ダブリンという都会の夜は遅いようだ。ファースト・フードでパニーニをかじり街を歩いていると一軒のパブから大音量のポリスが聞こえた。フラッと立ち寄りギネスを一杯。今晩も昨晩に引き続きセンチメンタルな気分だ。それはヴァレンタインのせいなのかもしれない。さすがに飲みすぎのせいなのか二杯とは飲めず宿に帰って眠りに落ちた。



15th Feb.
〜Go to KILKENNY キルケニーへ〜

キルケニーにてパブ・ランチ
「Baked Potato with Baked Beans」
凄いボリューム!

 今日は昨晩良く眠ったおかげで元気良く目覚めた。空は厚い雲が覆っていて暗い。少し遠出してキルケニーまで足を伸ばす予定だが天気はあいにくのようだ。リフィー川に沿って駅までのんびり散歩気分で向かう。朝は車がとても多く渋滞だ。自転車の人も多く日本に比べて自転車用のレーンも少しは整備されている。ダブリンでは渋滞は問題になっているらしく最近路面電車が走り始めた。まるで新幹線のような近代的なみかけとは裏腹に結構のんびり走っている。
0930の列車でキルケニーへ向かう、ダブリンも少し過ぎればのどかな田園風景が広がっていた。天気は相変わらず悪く雨が降り出した。キルケニーに着くと雨脚は一層強くなっていた。駅から町のメイン・ストリートまでは少し歩かなければいけない。雨が降っていなければもっと楽しく散歩できるのにと思いながらも、雨は雨で悪くないような気もした。さすがに強い雨に打たれ寒くなったのでパブで昼食を取った。結構昼間でもふと立ち寄ってギネスを一杯飲んでいくおじさんがいる。そのときのパブであったおじさんの一杯を飲む速さに驚いた。さすが一人当たりのビールの消費量世界2位を誇る国だけのことはある。朝のビールの納品のすごさと言ったらそれはもうビックリする。
雨に濡れるキルケニー城

パイント・ギネス付ランチを終えてキルケニー城へ向かう。広大な庭はまるでゴルフ場のごとくどこまでも広がっていた。場内の見学が1400からだったので、向かいのデザインセンターを見学することにした。良くわからないアーティスティックなオブジェを見学し訪問者ノートに名前を記す。何年か後に再び訪れる機会があったときに自分の名前を発見できるかもしれない。世界のどこかに名前が、足跡が残っていると言うのはなんとなくいいものではないか。街中はまだ雨が降っていたどうも止みそうにない天気だ。今日は空が泣いている。
空が泣いている。
涙が止まらない、キルケニーの空模様。
一日中涙は止まらなかった。

キルケニーと言う町は中世の町並みを色濃く残していると言われている。こじんまりとした町は歩いて回るには十分な広さである。古い教会にでも足を運んでみようと町を散策しながら歩く。町のメインストリートは比較的色々な店が建ち並び田舎ではあるけれども活気がある。勿論パブも多くどこの店もそれなりに風情があり入ってみたくなる。さすがに全部に入っていたら大変だ。それにしても雨は雨脚が再び強くなり寒くなってきた。いくら暖冬とは言え雨の中を傘なしで歩くのは結構堪える。やっと目的の教会セント・カネス大聖堂にたどり着いた。ここでは800年以上礼拝が行なわれてきたそうである。中に入ると高い天井に音の響く広い空間が広がっていた。この歴史的大聖堂は修復中で一部では工事が行なわれていたが、その神聖な空間の中では何もかもが静寂の中に包まれてしまうような印象である。ここでも記帳し名前を残す。ここに来ていることをこの教会のノートだけはいつまでも記憶にとどめておいてくれる。
セント・カネス大聖堂の聖壇
この聖壇の前で、結婚、新しい命の誕生がどれほど多く祝われ、どれほど多くの悲しみが慰められたのか。人々の多くの記憶をこの大聖堂は記憶している。
たしかに、この大聖堂が、ここを訪れた記憶をぼく以外に留めておいてくれる。聖壇が証人だ。

旅先で教会に立ち寄ることは気持ちが少し落ち着く。ここの聖堂のパンフレットにも書かれていたが教会を出るときには「気分がさっぱりし、希望にていられるように」祈ってくれているそうである。大聖堂の見学を終え、そろそろいい時間なのでキルケニー城の見学も出来るのだが雨も辛いし、気になっていたパブに向かうことにした。このパブはKitteler's Innといってここには4回結婚し、そのたびに遺産で裕福になっていった有名な魔女アリス・キテラー夫人の家であったそうである。中は暖炉があり広々としており、いかにもカントリー・パブといった風情。ここはお決まりキルケニーを注文し暖炉の近くの席で楽しんだ。多くの人がお茶を楽しんだり、スウィ―ツを楽しんだり、ギネスを楽しんだり思い思いの時間を過ごしていた。PUBという言葉に適切な日本語の訳語が見当たらないとはよく言われることなのだが、全くだ。日本にはこういう"施設"はどうも思い当たらない。マフラーとコートを引っ掛けて乾かすがなかなか乾かない。今日の雨は全く止む気配もなく、雨慣れしているはずの自分にも少々堪える。列車の時刻が気になる頃店を出た。小さな町を歩きながらパブでかかっていたカントリー調の音楽が頭の中ではなり続けていた。途中あのキルケニーのフォントにデザインされた修道院の門を発見した。セント・フランシス・アビ―だ。近づいて見るとそこはディアジオのブリュワリーだった。キルケニーはキルケニーで作っていない、と聞いていたがなんだったのであろう。何はともあれ、あのセント・フランシス・アビーの門が見られたのは嬉しかった。列車は遅れ気味に到着した。車内ではコーヒーを飲んでうとうとしたり日記を書いたりした。雨で湿って冷え切った体を暖めるほど車内は暖かくなかった。ダブリンに到着するとちょうど夕暮れ時で空は赤く染まっていた。外に出ると再び冷たい雨が降り始めた。今日はすぐに泣き出してしまう。
車内はテーブルもあり比較的快適だったが寒かった。
それは熱のせい?
雨にうたれ体は疲れていた。
ダブリン・ヒューストン駅に到着。
空は一瞬綺麗な夕焼けに染まった。

駅から程近いRyan'sを探す。ここの内装は本で見たことがあったが実際に行ってみると写真で見る以上に重厚で、落ち着きがある。ギネスに少し飽きたのでキルケニーを注文。残念ながらキルキニーはなくSmithaickを頂く。ここにも日本に行ったことがあるバーマンが二人いた。それにしてもなぜこうも日本にいったことがある人が多いのだろうか。ここのパブもミールが充実していて二階はレストランになっていた。「なにか食べる?」とバーマンに聞かれ心が揺らいだが昼に食べたジャガイモと豆がまだまだ残っていた。今晩は夕食は取れそうにない感じだ。店を出てみると雨はまだまだ止む気配がなかった。最近ダブリンに出来たという路面電車に乗っていつもの方面へ帰った。帰り道Kehouesというパブでハーフのサイダーを一杯。今日は雨にやられたらしいく、寒気がする。量の多かったランチも少々残って胃にもたれている。宿に帰る途中、THE TEMPLE BARで寒気防止にジェムソンを一杯煽ったが期待した効果は得られなかった。必要なのは睡眠だった。


つづく…
エディンバラ&ロンドン編はこちら

BAR CASK AND STILL TOP