川 本 将 人 |
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GLENGOYNE蒸留所のウェア・ハウス |
PUB CRAWL TOUR 2007 「パブ巡りの旅 2007」 〜It's a poor street without PUB in it.〜 「パブのない通りは貧しい通りだ。」 vol.2 |
綺麗に咲いていた小さな花 |
「2007 Trip to EDINBURGH, LONDON」 | ||||||||||||||||||||||||||
この面には消すところが付いているものの、 吸殻を捨てるところが見当たりません? 消したら、ゴミ箱に入れる、の!? よく火事にならないものですね。 この不器用さがスコットランドの好きなところ。
生活臭のするリース・ウォーク このあたりを歩いていると、住んでいるような 気がしてくるから不思議。 THE POT STILLにて酔いどれ にぎわっている店内 チェイサーはIPA ウィスキーはUDR Mortlach 20y.o Glengoyne Distillery 空は青く、コントラストがはっきりするほど 晴れ渡った日だった。 と言いつつ少し雲行きが… さすがはScotland 道路を隔てて貯蔵庫が並ぶ。 熟成にはシェリー・カスクを中心に使用。 蒸留所の廃液処理プール 蒸留所全景 蒸留所に飼料を引き取りに来たトラクター 牧歌的な南ハイランドの風景 ハイドパークにて 抜群のお天気ではないハイドパーク。 これはこれで英国らしいから気分も上々。 リスさん!待って! カメラが、技術が追いつきません… こんなにたくさんの鳥さんが集まっています。 この後、パンをまいたら大人気! |
16th Feb. I'm home 良く眠ったせいかだいぶ体調は回復していた。はじめての街ダブリンでは程々のの緊張感と新鮮な刺激の中で4日間をすごした。今日、この街を後にし、行きなれた街エディンバラへ向かう。利用する航空会社は今回はじめてのエアリンガス。アイルランドの航空会社だ。フライト時間は45分、あっという間にエディンバラに到着した。入国の審査もなく早速バスで街の中心へ。いつもの風景、いつもの空気帰ってきたという感じがしてホッとする。ダブリンではどこか緊張していたがここに来たら何かが一気に緩む感じがした。 いつものピルリグ・ストリートのBBに荷物を置き早速ロイヤルマイル方面へ。ケイデンヘッド、ロイヤルマイルウィスキーと酒屋を巡る。ケイデンヘッドではジャパニーズ・ウィスキー談義で少し長居してしまった。情報は入っているがものがない状態のようだ。ニッカ、サントリーは勿論、色々なジャパニーズを試してみたいけれど英国では入手困難らしい。ケイデンヘッドはジャパニーズのボトリングには興味はないのかと聞いてみれば実際興味はあるものの樽を買うことが難しいようである。日本のウィスキー製造者は樽売りをあまりしたがらないようだ。ケイデンヘッドとしては金額的にも折り合いが着けば是非ボトリングしたいそうである。次に来るときは、スパーニッカの18年を買ってきてくれと頼まれてしまった。ジャパニーズウィスキーは今やウィスキーの本場では幻のウィスキーらしい。 何本か手に入れたウィスキーを宿に置き、再び街へ。ローズストリートはパブが建ち並ぶ通り。いつもの好きなパブに行き、IPAと80を頂いた。ギネスに少々飽きた頃だったのでこのぬるい味わいは体に優しく楽しんで飲むことが出来た。去年からスコットランドのパブは全面禁煙。喫煙者はみんな店の入り口で一服する。ここローズストリートでは店の前にテーブルを出し灰皿をおいてオープンエアーの席がしつらえてある。日本でいえば新橋や上野あたりの立ち飲み屋の風情だ。夕食はこの通りにあるワインバーで済ませた。グラスのシラーズとナチョスの組み合わせ。それにしてもこちらのグラスワインの量の多さは嬉しい。ゆったりとしたソファでくつろぐと睡魔が襲ってきた。リースウォークを下って家路に 7th Feb. GLENGOYNE蒸留所&THE POT STILL
GLENGOYNE蒸留所はグラスゴーから程近く、比較的行きやすい場所にある。今回の旅ではスコットランドには滞在が短いため遠くの蒸留所まで足を伸ばすことは難しいのでGLENGOYNE蒸留所を選んだ。正直、あまり目立たない存在のモルトだが、近年オーナーも変わり比較的シングルモルトの販売に力を入れているようだ。ローランド含め、今まであまりスコットランド南部の蒸留所は行った事がないのでちょうどいい。ブキャナンから順調にバスに乗り継ぎ蒸留所の前で降ろしてもらった。周りはなだらかな緑に覆われた丘が緩やかに続き、遠くでは羊が草を食んでいる。いかにもスコットランド的な牧歌的な風景の中にこじんまりとした蒸留所がある。
蒸留所の門をくぐるとすぐに醗酵槽から漂ってくる醗酵臭が鼻をついた。何度訪れても蒸留所の香りはウィスキー飲みにはたまらない。この香りを体験するとティスティングの時にその香りをグラスに注がれたウィスキーの中にも見つけることが出来るのだ。丁度ツアーが始まる時間だった。結構人数も多く、ビデオでのプロモーションからマザーウォーターが小さな滝を見学し、蒸留所の案内に入った。お決まりの説明であるがツアーを担当した女性はなかなか熱心に解説を加えながら効率よく案内をしていく。最近では蒸留所は単にウィスキーを作るだけでなく、観光施設としての意味も多分にもちそれにっよって知名度も高まっていく。だからどこの蒸留所も見学ツアーにはそれぞれ趣向を凝らし、内容が充実し且つ個性的なものであるように心がけているようだ。ここの蒸留所はやはり「ノー・ピート」を強調していた。へヴィー・ピートが好まれる昨今のウィスキーにあっては貴重な存在だ。かつてはノー・ピーテッドのウィスキーの意味は飲みやすく甘いことだったのかもしれないが、近年は飲みやすい云々よりもノー・ピートが逆に個性的ととらえられなくもない。熟成にはシェリーを結構好んで使っているらしくどのウィスキーもシェリー由来の甘さと麦の甘味が特徴的だ。確かに飲みやすいウィスキーの代表格といってもいいのだろう。たとえばスペイサイドあたりの甘味のあるウィスキーに比べると格段に穏やかで、良くも悪くも軽い。シェリーのニュアンスののりかたなども重くなるが、タッチは軽い。ローランド的な穏やかモルトなのだ。
18th Feb. 〜安息日
19th Feb. 〜大都会へ〜
順調にエディンバラからロンドンへ着いた。ダブリン、エディンバラと旅をしてきたものにとってロンドンの風景は建物すべてが高く感じ、大都会で様々な人がいる大都会そのものであった。東京からロンドンに着いたらそんなことは感じなかったかもしれないが。久しぶりのロンドン、道も距離感も思い出せそうにないので一先ず地図を手に入れた。今までに行った事のある界隈から歩き始め、数軒の酒屋へ足を運ぶ。どこも同じような感じでなかなか掘り出し物を見つけるのは容易ではない。昨今のウィスキーブームのおかげで旅先で「!」というような逸品に出会うことは先ずなくなってしまった。それに加え今年はポンドが高い。何を見ても日本で買うほうが得な感じである。それにしても元々が酒好きなので仕事にならない酒もほしくなる。ヴィンテージ・ハウスでちょっとした年代物のクラレット1978レオヴィル・ポアフレを見つけた。値段的には日本で買うよりは安そうだ。買うべきか否か迷う。とりあえず、近くのパブでエールを一杯。ラドルスのリアルを注文した。久しぶりのビターはやけにうまく感じられた。まだ頭には例のワインが…。ロンドンはおりしも旧正月で、中華街が盛り上がっていた。中国人らしき人々がたくさん楽しそうに歩いている。提灯で飾り付けされていたりといかにも正月気分だ。ぼくも田舎から出てきた中国人に見えるだろう。だったら今日は中華でも食べようか、という思いつきで中華のレストランへ。シーフード焼きそばを注文。これが美味しい硬焼きそばであった。ロンドン初チャイニーズは好印象。少しブラブラ散歩をしてサヴォイ・ホテルへ向かう。よく写真で見る正面玄関は本物はもっとかっこいい。スニーカーにジーンズでは少し入り難い雰囲気。エイやっと重厚な回転扉を押して中に入ると…やっぱり出直してこよう、そのためにスーツももってきたのだし…ということで一時撤退。入って入れなくはないが楽しめない。たとえポケットには数ポンドしか入ってなくても、スーツをビシッと着て堂々としている方が楽しい、まるで詐欺師みたいに。その夜は格好にみあったところで、ホワイト・ライオンなどパブを数軒飲んで歩いた。いい気分で宿に帰り眠りについた。その夜は1978年物のクラレットの夢をたっぷりみさせていただいた。 20th Feb. sometimes, I would be gentle and rich. ![]() 旅の疲れが出てきた頃か朝寝坊をする。都会は比較的遅寝、遅起になってしまう。ホテルのどうでもいい朝食は取らず外に出た。コーヒーを飲まないとどうにも朝が来た気がしない。スターバックスでコーヒーとサンドウィッチの朝食をとりながら、その日の計画を考えた。今晩は今回の目的の一つであるサヴォイにいかなくてはいけない。夕方は早めに宿に帰り着替えて乗り込むことにしよう。昨日下見した感じでは、ジーンズにスニーカーでは少しばかり居心地が悪そうだ。天気はロンドンらしく曇り時々雨時々晴れ間。フォートナム&メイソン(以下FM)に寄りながら、ハイドパークに向かい、ナイツブリッジのハロッズまで散歩することにした。FMではチーズ売り場にすっかりはまり眺めているうちに時間がたってしまった。スコッティシュ・サーモンや肉売り場そしてワイン売り場と見て歩くうちに時間はあっという間に過ぎていったが目的のローズのコーディアルがなかった。 もう10年ぶりくらいだろうかハイドパークを散歩する。馬場があって乗馬を楽しむ人、ジョギングをする人などみんなが思い思いの時間を楽しんでいる。すこし雨が降ったりもするがそれはそれとして散歩をとても楽しんだ。今回の旅でまったく仕事とは関係ないが、久々に来てみたかったのがここの公園だった。一度だけしか来たことがなかったのだが、ここで過ごした散歩の時間は記憶に残っていた。のんびり歩いて池のほとりにたどり着いた。そろそろ一休みしようと池のほとりにあるカフェでマッシュルーム・スープとパンを頂いた。すこし冷えた体にはスープはとてもありがたかった。パンが少し余ってしまったので外に出て水鳥たちに振舞った。瞬く間に人気者になった。上野の公園の風景を重ねてみたりしながらハイドパークの水鳥たちを眺めていた。日常と非日常の狭間で楽しんでいた。ハロッズに入り食品売り場を物色。FMとあまり変わらない。樽売りのモルトを勧められ試飲をするが今ひとつ。ハロッズを後にして帰路へつく。途中雨にも降られたりもしたが、FMまでたどり着く。来るときに目をつけていたチーズを一塊買い、ローズコーディアルを買いに酒屋へ向かうが、あいにくシュウェップスしかないのであきらめてコンプトンズでビターを一杯やりながらロンドンの活気ある通りを眺めることにした。ニワトリの様な頭のバーマンが注いでくれたのはロンドン・プライドのリアルであった。いい味だ。散歩のあとにはほんとにうまい。湿った気候でののんびりとした散歩のあとのエールは喉でラガーをグイッとやるのとは一味違う。暮れかけた通りを眺めながらゆっくりと一杯楽しんで店を出た。部屋へ帰ってスーツに着替えサヴォイに向かった。周りにはシアターなどがあり、ホテルだけというよりは、そこで観劇を楽しんだり、食事を楽しんだりして過ごすのがそこでの過ごし方なのだろう。古く、伝統を感じさせる回転扉を押して中に入ると仕事あとのビジネスマンらしき人々や観劇前の食事を楽しもうとやってきた人々で賑わっていた。バーがどこにあるか今ひとつわからないので、一先ずレストランの横にあるシャンペン・バーで一杯シャンペンを飲むことにした。ひやかしで申し訳ないのだが、サヴォイ・グリルのメニュを見れるかどうかきいてみた。すぐにメニュを持ってきてくれた。基本的にはフレンチのような料理でかなりレベル高そう。当然お値段も。申し訳ないのだが、今日はちょっと違う感じ。と告げ一度ホテルの外に出た。サヴォイのホテルの外には系列のシンプソンズという老舗の英国レストランがある。かなり高級そうだがメニュに惹かれ中へ。30分後に予約が取れるかと尋ねたらOKの返事。並びのパブでジントニックで時間をつぶしレストランへ。店内はとても賑わっていた。とにかくこの店のロースト・ビーフかステーキ&キドニー・パイを食べてみるべしということなのでパイを注文した。確かに高級な味わいのパイであった。ワインは勿論クラレット。保守的な英国式ディナーはとても楽しめた。ここはハレの日のレストラン。隣のテーブルはバースデイであったし、奥の団体はマグナムのクラレットを何本も開け、大いに笑い、盛り上がっていた。食事を済ませ再びサヴォイホテルへ入り、アメリカン・バーへ向かった。カウンターに近い席でゆっくりとマティーニ、ギムレットを楽しんだ。たっぷりのオリーヴ、ナッツが出され、大ぶりのカクテルグラスに注がれたカクテルをゆっくりと楽しんだ。ピアノのBGMが心地よく思いのほか長居してしまった。シンプソンズのBARにも行こうかと思っていたが閉店に近い時間になってしまい今晩はこれにて。次の機会にまた来ることにしよう。ロンドンの最後の夜はとても贅沢に時が過ぎていった。旅の終わりにはふさわしい夜となった。 21th Feb. EXPERIENCE
今回は初めての国に行ったせいなのか、異常に暖かかった気候のせいなのか、晴れが多かったからなのか、それとも違う理由なのか、見る風景がどれもいつもとは違い、ことさら輝いて見えた。新鮮な感性で色々なことを体験できた。ダブリンで飲んだギネスの味も、クラブの風景も、涙が止まらないキルケニーのお天気も、エディンバラのIPAの味も、じゃれあってくるケイデンヘッド・ショップの子犬も、グラスゴーの盛り上がった夜も、いつもの朝食のマッシュルームも、ハイドパークの鳥さんたちも、ロンドンのパブのモヒカンも、サヴォイの夜も、数え上げたらきりがないほどの忘れがたい経験をした。いくつになっても新鮮な経験が出来ることはなんと素晴らしいことか!旅はしてみるものである。行ってみなければわからない、触ってみなければわからない、感じてみなければわからないことがほんとにたくさんある。日常と非日常の狭間で過ごした10日間はいつまでも、いつまでも心に残るような旅となった。 早く店に帰り、見つけたアイリッシュ・コーヒーのグラスでとびきりのアイリッシュ・コーヒーを作りたい、テンプル・バーの香を少し漂わせて。手に入れたアンティークのシェーカーでギムレットをふってみたい、サヴォイでの思い出を軽く添えて。 |
今回の旅行にご協力いただいた方々へ…
サッポロ・ギネスの小川さん、ディアジオの鈴木さん、ギネス・ストアハウスの案内、詳細に渡るパブ・ガイドを提供していただき、誠に有難うございました。
また、毎度毎度のことながら長期の留守にご理解いただいておりますお客様には心より感謝申し上げます。
そして、留守をしっかりと守ってくれたスタッフには、心から感謝しています。
Special Thanks
...all of heartwarming Irish, Scottish and English people !
最後に…
「アイルランド共和国、UKの恒久的な平和と繁栄を極東より陰ながら日々祈っています。」
BAR CASK AND STILL TOP