石 川 和 伸 |
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へレスの文字にほっと一息 |
JEREZ TOUR 2008 「シェリーを巡る 2008」 〜in Latin Mood〜 「ラテン時間の中で」 |
ラテン・ムード漂う街角の風景 |
「2008 Trip to JEREZ」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シェリーの故郷はほんとに遠い ホテルの素敵なシャンデリア!
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1月14日(月) 「初めての酒は・・・」 10時40分、Jerez到着 気温は7度、少し寒い気もする。 長い飛行時間のためみんな疲れた様子。 僕達はホテル・ハンダロスにチェックインした。 このホテルはウイリアムハンバートのボデガを改装して造った天井の高い建物と、素敵なシャンデリアが吊るされた、フロントとBarがある建物の二つに分かれている。 このホテルの前にあるIrish Pub O'Donoghue's に駆け込んだ。 中にはバーマンが二人、その一人と話をした。 名前はアレックス、ニューヨークのbarで勤めていたがフラメンコギターに魅せられへレスに来たという。 歳は自分と変わりない。 彼は大好きなフラメンコギターリストを僕に教えてくれた。 もう一人のバーマンにもフラメンコギターが好きか聞くと、うちはIrish Pubだぜ!とのこと。 明日の集合もあるので、1時くらいでホテルに帰った。 アレックスの出してくれたギネスがパワーをくれた気がした。 1月15日(火) 「いざ、ボデガへ!」
地下1Fで朝食をとった。 生ハム、ソーセージ、ベーコン、スクランブルエッグ、トマト、トースト、クロワッサン、シリアル、フルーツ・・・スコットランドのB&Bでの朝食を思い出した。 集合場所はフロント前、今日はシェリー委員会日本代表の明比淑子さんがJerezの街を案内してくれた。 人でいっぱいのバル、チュロス屋、フラメンコ衣装屋、市場などJerezらしい町並みが目に飛び込んでくる。その後ぷらぷらして一時解散。 僕達はすぐさまボデガへ歩いた。 最初訪れたのはドメックだ。 Domecqはブルーのステンドガラス、レモンやオレンジの木がとても可愛らしい。 きっと女の子が好きになるようなボデガだと僕は感じた。 それからタクシー2台でバルデスピノ、現在はホセ・エステベスという名前のボデガへ向かった。 このボデガは犬や鳥はもちろん馬や馬車、中には16〜17世紀のアンティークに埋め尽くされとても広い。それだけではない。古いラベルのコレクションからも分かるように、歴史があり、また素晴らしいSherryを造っている。 そしてホテルで少し休んで19:00にゴンザレス・ビアスへ。 このボデガはティオペペというフィノシェリーでとても有名だ。 4両の長い車が(僕達はずっとぺぺ号と勝手に呼んでいた)ディズニーランドのように案内してくれた。 しかもこのボデガはネズミも住んでいて、エサが用意してあった。エサをあげているから悪さしないそうだ。
続いてヤールスマネージャーのポールさんがテイスティング、説明、タパスを食べにBar Juanito バル・フアニートへ。 海老シェリービネガーのマリネ、鰯のフリッター、生ハム、サメのカレー味フリッター、チップス&エッグ、アーティチョーク、ミートボール、ティオペペがよく合うし、オロロソもミートボールにばっちり合う。 スイーツにはプリンとアーモンドケーキにペドロヒメネス(甘口Sherry)は最高! 写真ばかりパチパチ撮っていると、写真部のようだとみんなで笑った。 1月16日(水) 「勉強!」
9時から原産地呼称統制委員会のセミナーが2日間に渡って行われる。 Sherryだけでなくヘレスの歴史なども学ぶ。 12時からバスで、造り手イダルゴ・ラヒターナの畑へ。 けれど途中、雨のため畑へ入れないということで直接ボデガへ向かった。 途中なだらかな葡萄畑が広がる。空も青くなってきた頃、ボデガに到着。
ミゲルさんは僕達にmuchito ムチート という言葉を教えてくれた。サンルーカルの方言だ。一口で飲むといことらしい。 Muchitoを一日に10回やるのがいいらしい・・・! そんなミゲルさんのユーモアと人柄に彼のシェリーに対する情熱が伝わってくる。 ボデガを見学するのもゆっくりが大事だとも言っていた。僕も同感だと思った。 うちのボデガではゆっくりしてくれと何度も言ってくれた。 ボデガの案内中、また樽から注いだばかりのSherryのテースティング中、ボデガの人がCazon カソン(サメのフリッター)やCorvina コルビナ(スズキのような魚)、マンチェゴなど持って来てくれた。食べながらの楽しい見学だ! ボデガでの見学中は当たり前だが働いている人もいる。 白衣を着てサンプルのチェックをする人、1万5千リッター入るステンレスタンクの回りで機械をチェックする人、Pulpoという道具(これはタコの意)を使って樽から注ぎ出している人、皆いい人ばかりだ。 他にも50年代のこのボデガで働いていた人の写真。とても素敵だ。 その後2階に上がりみんなで食事、生ハム、海老、リゾットのような料理、プリン。 そう、デザートにプリンはよく出た。 それは澱を取るのに卵白を使い、卵黄が余るからだ。 だからボデガプリン巡りもきっと面白いだろうなとも思った昼から一同バスで、造り手イダルゴ・ラヒターナのボデガへ。 樽出しのシェリーを試飲。 食事も終わる頃にはすっかり晴れた。 バスに乗りグアダルキビール川を見学したあと、念願のブドウ畑も見せてくれた。 広大なブドウ畑の向こうは緑が地平線まで続いて、帰る頃には夕日が眩しかった。
ロマテではMarcelinoさんが案内してくれた。 このボデガは1781年〜今まで約220年の歴史あるボデガだ。場所も街の中心にある。 街の中心には以前いくつかのボデガもあったが、今はこのロマテだけのようだ。Sherry造りも大量生産しようとは考えず品質重視だ。 うちの店でもロマテのSherryは人気だ。 黒い沢山の樽はSherryの漏れが分かるように、炭で塗っているらしい。 またチョークでその樽に入っているSherryの情報が書けるからだそうだ。 今回参加したメンバー全員で、一つの樽に名前を書かせて頂いた。 それからMarcelinoさんと一緒に、El lagadeltio Parrillaへフラメンコショーを観に向かった。 ここでの夕食も美味しかった。フラメンコも舞台が目の前だったので迫力があった。 最初は写真も撮ったりしたが、次第にそんなことも忘れ見入っていた。 1月17日(木) 「もう最終日。」
9:00に2回目の原産地呼称統制委員会のセミナーだ。テイスティングを中心に学んだ。 11:30 El Puerto de Santa Mariaにあるオスボルネ社にバスで向かった。 白い壁の建物の周りにはに赤やピンクの花、オレンジの木、静まり返ったボデガの中は丁度昼時ということもあり、窓から差し込む光がエスパルト草でできたカーテンを金色にして実に神秘的だ。 ここではベネンシアの使い方も練習させてくれた。前半はすべて樽からのSherryだ。 昔のラガールやスティルも見れ勉強になった。その後アペリティフを頂きレストランへ。
途中、お城やレコンキスタで活躍したアルフォンソ10世の銅像、南国ムードのある町並み、レストランの人も道を歩く人もTシャツや半袖シャツが多い。今は1月なのに・・・。 ここでの食事も素晴らしい。興味のある方は是非写真もあるので後でお尋ねください。 Emilio Lustauは綺麗に3段で樽が積まれている。4段にはしないそうだ。そして上にオロロソを積んでいる。 それは上は2度温度が違うからだ。オロロソは酸化熟成タイプだから、他のタイプのSherryに比べ少しこの気温の差に強いらしい。 それからFinoという文字の上には小さく30と数字がある。脇には25だとか28だとか小さく書かれている。 これはアロバだ。1アロバ=16.6リットル、30アロバシェリーが入る樽だ。 30アロバの樽に25アロバsherryが入っている。数字の高い28などの樽はオロロソなど、フロールができないSherryの樽だ。 フロールは空気(酸素)が少ないと生きられないからだ。 そしてテイスティングルームへ。 11種のSherryと1つのシェリーブランデー、1つのシェリービネガーだ。40を超えるSherryからのベストチョイスだ。 その後、夕食会へ。この時の写真と資料はありますので、後で気になる方はお尋ね下さい。 ホテルへ戻り僕達は急いで準備してサンデマンの近くのSherryショップへ。 そう、この時まで買い物をするチャンスがなかったからだ。 シエスタは僕達も知ってはいた。 けれど2〜5時または6時くらいまでの間、道には人も少なく店は閉まり、大きなスーパーさえ営業していないのに僕たちも驚いた。 是非ヘレスへ行き買い物がしたいと思った時は、このシエスタを考えて行動するのを強く勧めたい。 Sherryショップのオーナーは急ぐ僕達に、 「焦るなよ、ここはJerezだぜ!ゆっくり楽しめ」と一言。 時間は6時をとっくに過ぎ、19:00にはエミリオ・ルスタウ社に行かなければならない。 同行した3人で呼んでくれたタクシーに飛び込み向かった。そして走った。 (シェリーショップはとてもいい店だ・おじさんもやさしい) やはり遅刻した。 そしてシェリーアカデミー修了式となった。 一人ずつ修了証書を頂いた 僕はルスタウのイーストインディア・ソレラシェリーを手に取った。 イーストインディアとは16世紀、船乗り達がSherryの樽を積んで航海し赤道を越えた時、全く違う熟成をしていたことに由来する。 僕達のツアーも終了だ。 このSherryは最後にはぴったりだろうと感じた。 |
今回の旅行にご協力いただいた方々へ…
今回ツアーに参加された先輩方、ボデガの皆さん、スペイン語が話せない僕達をいつも気遣ってくれた
明比淑子さん、マスター、山口さん、そして何よりもいつもお店に足を運んでいただくお客様に大変感謝して僕のレポートを終わりにしたい。
2008年1月18日
Written by K..Ishikawa
updated:22 January, 2008 by CASK AND STILL
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