川 本 将 人 |
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カークウォール空港のセント・アンドリュース旗 |
2006 Whisky Pilglims 「ウィスキー巡礼」 〜ウィスキーの聖地を訪ねて〜 vol.2 |
ハイランド・パーク周辺 「よーこそカークウォールへ」の看板 |
「2006 Trip to Scotland」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
カークウォール空港 荷物を受け取るときからハイランド・パークがお出迎え。
スケールの大きさに圧倒される 荘厳な聖堂内部 < Highland Park Distillery > ハイランド・パーク蒸留所の入り口のサイン やたらとカッコいい。
コンデンサー 何度か訪れてみたい蒸留所だった。 高台のハイランド・パークから反対側のスキャパを眺める オークニーの夕暮れ ハイランド・パークのイメージってこんな!? 変わりやすい天気も楽しめるようになるから不思議 < SCAPA Distillery > 入り口には工事中の看板が… カークウォールの町 John Scott & Miller
B&B John & Shieley Moar
港に入港するフェリー 少し入りにくいパブの入り口と看板 こちらはローカルホテルのパブの入り口 一番の目抜き通り 静かな日曜の朝。前夜、飲みすぎたのかもしれない。 エディンバラ - ピルリグ界隈 リースウォークから眺めたピルリグ・チャーチ いつも宿を取るピルリグ・ストリート
キャノンゲートのケイデンヘッド・ショップの店内 店内に並べられた量り売りのウィスキー&ラムの樽 |
〜いよいよオークニー上陸! 車での一泊は思った以上に快適。アバディーン空港で髭をそり、着替えを済ませ、いよいよオークニーへ向けてテイクオフ。 一時間弱でカークウォール空港に到着。周りには何もなく見渡す限り草原の中に一本だけ滑走路が延びる小さい空港。早速タクシーを捕まえてカークウォールの中心へ。ハイランド・パーク蒸留所への入り口の看板を過ぎ、ものすごいゴシック様式の大聖堂が見えた。セント・マグナス大聖堂である。町の真ん中に尖塔を持ったその建物は建っている。スケールの大きさは圧巻。何処からでも尖塔が見えるので道に迷うことは無さそうだ。KIRKはゲール語で教会のこと、この町はやはり特別な町なのだろうか。 iでB&Bのある界隈を教えてもらい早速宿探しへ。昨晩は思わずワイルド一晩になってしまったので今晩は何としてもゆっくりできる宿を探したいところ。先ず一軒目のBBへ、あいにくツインは満室とのこと。しかし丁寧に斜め前のBBを紹介してくれる。BBの看板もないような宿だがいかにも世話好きなママが暖かく迎えてくれた。ダイニングで少しお話しと自己紹介。日本からのお客は二組目らしい。素晴らしい部屋を借りることが出来て昨日も疲れも吹き飛んだところで早速ハイランド・パークへ。 坂道をあがりしばし歩くと高台に道をはさんで両側に蒸留所ある。ウェアハウスの数はそこそこながら、想像よりもこじんまりとした蒸留所だ。事前にアポイントを取っていたせいか、ハイランドパークがフェイヴァリットだと伝えておいたせいか、いきなり12年や30年、限定販売のカペラなどをティスティングさせてくれた。アメリカからのビジターと一緒にツアーを周る。フロア・モルティングを未だに行なう数少ない蒸留所だ。ピートを夏の間に蓄え、通年で操業している。キルンルームには年季の入ったキルンマンがいた。定年をしたいのだけれど、会社がゆるしてくれないそうだ。ピートの話、モルティングのこと等をオークニー訛の強い英語で語ってくれる。キルンの前での記念撮影にも快く応じてくれる。その長年の熟練した腕前だけでなく、ヴィジターセンターにとってもなくてはならない人材なのだろう。それにしても何もかもが自動制御でやけに人が少ない蒸留所が多くなった昨今、このような職人の意気込みが感じられる蒸留所は貴重な存在かもしれない。ピートは見た目にもアイラのそれとは明らかに異なる。3種類のピートを使用していて、最も表層にある繊維質を多く含む茶色っぽいピート、これはオークニー独特の物のように思われるヒースの香りを感じさせるやわらかいピート、次はもう少し黒っぽい色をしたピート、そしてほぼアイラのピートに近いような黒くて硬いピート。この三種類に石炭を加えバランスよく燃やしていく。モルティングルームは入り組んでいて広い。すべてのモルトを自前で調達しているわけではないが、多くのモルトをここで生産していることがうかがえる。原料モルトは甘く、スモ―キー、これがなかなか美味しい。ウォッシュバックはオレゴンパイン、蒸留は二回、比較的ネックの短いスティルで行なう。熟成には主にシェリーカスクを使用する。バーボンカスクも使用するが主流はシェリーだそうだ。12年や18年などのオフィシャルは両方の原酒をブレンドしているそうだ。比較的パワフルな酒質を持つからなのか、ファーストフィルシェリーを使用しながらも、甘くなりすぎない。むしろその個性的なこの蒸留所のスタイルとしてバランスよく仕上がっている。ハイランドパークでも自社詰のシングルが好調らしく、ブレンド用やボトラーに販売するカスクは減っているそうだ。ヴィンテージラベルなどはドイツマーケットなどで好調だそうだ。しかし未だに最も大きいマーケットは国内で以下ドイツ、フランスなどが続くようである。日本マーケットには出ていないが15年もバランスよく仕上がっていた。1984ヴィンテージはドイツマーケット向けでシェリーとはいいながらドライで華やかな香りを持つ逸品であった。ヴィジターセンターで大いに楽しみ、ウィスキーの酔いも程ほどで気持ちよく帰路に着く。 小腹がすいたのでチップ・ショップへ。 やはり港町のF&Cは美味い。荷物を置きにBBに帰って、パブに出かけよう。ZZZ…昨日からの疲れか、ウィスキーの酔いのせいか、心地のよいベッドから離れられなくなってしまった。
〜Do Sports! ストロムネスまでサイクリング!? 疲れもすっかりとれ美味しいブレックファーストで元気一杯!今日は何をしようか?何処に行こうか?レンタカーして島の中を周るのも悪くない。などと思いながら町を散策。ン、天気も良さそうだし自転車を借りてサイクリングはどうだろう!?早速インフォメーションでレンタサイクルを教えてもらい直行。愛車には全くかなわないがちょっとしたツーリングにはおあつらえ向きのシティバイクを借りる。「何処まで行くの?」「ストロムネス!」「片道16マイル。この道を行けば比較的へいたんで乗り易い。」16マイル?およそ往復50キロ強。いい運動になる。快調に走り出す。こちらのドライバーはサイクリストにもほんとに優しい。辺りは見渡す限り草原。羊たちに歓迎されながらペダルをこぐ。気持ちよくとばして行くも緩やかなのぼりとくだりを繰り返す地形。わが相棒は少し遅れ気味。調子に乗っていたが次第に雨脚が強くなる。なんだか地獄の特訓のよう…バーマンの基本は体力だ!雨の中の強行軍、つき合わせたのは悪かったかなと思いながらも、もう引き返せない。まさか蒸留所めぐりの旅で自転車をこがされるとは思わなかったでしょうね。なんか無性にオカシク思えてきた。雨の中のサイクリングはいい思い出にはなるだろうが二度と雨の中がいいとは思わないだろう。途中休みながらもなんとかストロムネスに到着。昼食を軽くとって、いざ帰り道へ。
〜隠されたもの!? 今日は遠出はせずにのんびりとカークウォールを散策。買い物をしたり、博物館に行ってオークニーの歴史を見たり、お茶を飲んだりでゆっくりと時を過ごす。最後に少し気になっていた酒屋兼よろずやへ。1967/37y.oのハイランド・パークが気になっていた。ラベルはなぜかこの店のオリジナル。?。ボトルを見ていたらティスティングを勧めてもらいいくつかのウィスキーを試す。聞けばかなりウィスキーやワインに入れ込んでいる店らしく、ハイランド・パークとスキャパに関してはダグラスレインやダンカンテイラーに樽買いしたものをボトリング委託しているらしい。最近はモルトブーム。何処でもこいう人がいるのだなと感心した次第。こちらも物好きなのでなんともいえないが、イタリアでもスイスでもスコットランドでも日本でも好事家の輪が広がっていくのは実に楽しい。ところでオークニーのご当地ビールを試していないのを思い出しここの店主にどこかリアルエールで飲めるところはないのかと尋ねたら快く地図に印をつけてくれた。さらにスキャパの蒸留所の場所も教えてもらった。さほど遠い距離でもないので散歩ついでに歩いていくことに。スキャパの綺麗なビーチを過ぎ、曲がりくねった道を登っていったところにウェアハウスが並んでいて、蒸留所特有の煙突のある建物がある。象徴的なパゴダ屋根はない。看板があったと思われるがなぜか取り外されている。工事中の看板がありウェアハウスだけが並んでいる。なぜか蒸留所であることを隠されているような印象を受ける。結局、概観を見たと言うだけで蒸留所を後にした。町に戻るとそろそろエールにいい時間。早速、地図にマーキングしてもらったBARへ。ここがすごい。まるで昔のビニ本の自販機のように窓が鏡になっていて中が全く見えない、看板もない、入り口も例によって薄暗く小さい。中に入るとまたビックリ!TVがあり人も多く賑わっている。みんな思い思いの酒を片手に盛り上がっている。?。先ずはダークアイランドから試すことに。コクのあるフルボディなダークエール。エールを啜りながら思いをめぐらした。大聖堂が町の真ん中に威圧的とも思われる様子で建っている。入り口の小さい中の見えない隠されたようなパブ、退屈な田舎町、酒を飲むくらいしか楽しみがない…人々はどこか後ろめたい気持ちで酒を夜毎飲んでは憂さを晴らしているのかもしれない。ラテンの明るさとは対照的な思考だ。パイントグラスも空になったところで、ディナーを取るためにウェスト・エンド・ホテルへ向かう。ここは町のはずれにあるホテルでこじんまりしているがメニュは良さそうだ。ここのホテルも一階は真っ暗。二階に上がるとパブリック・バーと素敵なダイニングがある。また隠されている様子。シーフードと食べきれないほどのオークニー・チーズでしめるディナーをいただき、大満足で外へ出る。
〜空路エディンバラへ オークニー最終日はこの上ない快晴に恵まれた。今日は飛行機でエディンバラに向かう。町の中心からタクシーで空港へ。この田舎の風景もとりあえずは見納めかと思うと少し寂しい気もする。飛行機は順調に飛行を続け、途中インヴァネスに立ち寄る。まるで乗合バスのようにここで降りる人、乗り込んでくる人がいる。しばらくインヴァネスに滞在した後再び離陸。無事にエディンバラ・ターンハウス空港へ。エディンバラは気温も低くあいにくの雨。しかしこの天気がそれらしくていいのかもしれない。宿を何処も予約してなかったのでインフォメーションでピルリグ地区のBBの電話番号を教えてもらう。早速予約を取ってバスでシティセンターへ。帰ってきたよ!という気分。しばし重い荷物を持ってピルリグ地区までの道のりは結構きつい。しかし無事BBへ。荷物を置いて早速町へ。一通りの酒屋を案内してエディンバラ・キャッスル、ウィスキーヘリテージセンターを紹介。ここに相棒を一人残し、僕はスターバックスでコーヒーを飲んだりした。迎えにいきそ、ろそろいい時間だということでディーコン・ブロディ・タバーンで一杯。そろそろディナータイムということでTASSに向かう。ここには毎回食事をしに来ている。リアル・エールのカレドニアンIPAにスモークハドックというスコティッシュな組み合わせ。ここTASSの料理はパワーアップしたようでメニュ数も増えワイも充実した。益々お世話になることが多くなりそうだ。食事を済ませ次はローズ・ストリートへ向かい、ストリート・ミュージシャンのBGMを心地よく聞きながらパブを物色。端から端まで歩いたところで今日はライブをやっているパブへ。またまたIPA片手にライブを楽しんだ後、帰路についた。本日は3件エディンバラパブ・クロールの始まりだ。
〜素敵な街エディンバラ、聖地巡礼パブ編 快晴のエディンバラ。少し寒いが心地よい朝。月曜日のせいなのか心なしか道行く人が忙しそうに見える。いつものようにリースウォークをニュータウン方向へ向かう。旅行者はのんきなものだ。特にしなければいけないことがあるわけでなく、フラフラしながら時を過ごす。コーヒー欲しさでスタバへ。やはり紅茶の国だから朝のコーヒーはイマイチなのだ。さて、わが相棒は酒屋へ。一人での行動には若干の不安もあろうがこれは大事なことだ。1500にセント・ジャイルズの前で。それまで私は何をしよう。ショッピングとまたブラブラ。パブでコーヒーを一杯。ゆっくりと街を歩くのは楽しい。まるで地元にいるような気分。エディンバラはそんな気にさせられる不思議な街だ。無事に大荷物を抱えた相棒をひろい、一度BBへ帰り、再びウェーバリー駅へ。今日は旅行前からのリクエストで「ザ・ポット・スティル」(以下TP)へ行く事になっている。いつものようにグラスゴーは私にとって分かり難い街で少し迷うが無事に発見。この店は以前は「カスクアンドスティル」(以下CS)という店であった。名前を数年前に変えたのだ。いや、正式には戻したといった方がいいのだろう。CSの前はTPを名乗っており、数年間CSで営業した後再びTPを名乗っている。看板の色が青から緑に変わっていた。初めて、偶然この店を発見して、今の当店の名前を決めたということもあり、当然、特別な思いがある。昔からそれなりに有名な店であったが昨年「Malt Whisky Bar of The Year」に選ばれてからは、日本でも益々多くの人々に知られることになった。だがここがCSを名乗っていたことを知る人は少ないだろう。早速店の中にはいる。会社帰りの人たちが多く、とても賑わっている。原点であるこの店が繁盛している様を見るとなぜかとても嬉しくなる。偶然に発見したときに比べれば古いボトルはめっきり少なくなったが、やはりそのコレクションは圧巻、そして充実したカスク・エール。古いボトルも新しいボトルもどこかこの店にあると誇らしげで、幸せそうだ。当店にあるボトルたちは幸せな顔をしているのであろうか。カスクエールは最高、ウィスキーは美味い、バーメイドはかわいい。安ウィスキー(フェイマスを飲んでいる)すら美味しい。やはり本場物が持つ風格なのか、歴史なのか。我が「カスクアンドスティル」も本場物と言われる日は来るのだろうか。この店の中で人々を見ているとそんな気持ちにさせられる。仕事帰りの人々が立ち寄っては一杯飲んで、仲間としゃべって帰っていく。世界に名だたるモルト・バーであるにもかかわらず、やはりこの店の基本はローカル・パブなのだ。いや、ローカル・パブという言い方は本来おかしいのかも知れない。すべてのパブは本来ローカルなものでローカルな人々に支えられているものではないだろうか。いつもの顔、いつもの一杯、いつもの空気、あまりに日常的すぎて大切なもの、素晴らしいものを見逃していたのかもしれない。そう思うと早く自分の店に帰りたくなった。もう一度、原点に戻ってやってみよう。150年以上続く店に…忘れてはいけない。多くの人の思いととともにあるのがPUBなのだ。断じてスタイルはない。巡礼地のパブは、大切な日常を思い出させてくれた。原点を忘れかけていた自分に苦言を呈された思いでもあった。さすがは聖地巡礼だ。
〜エディンバラ本日も快晴!と思いきや。 部屋でPC相手に作業をするのには飽き、どうせならばソサエティのメンバーズ・ルームでしようと外へ出た。リース・ウォークを海に向かって歩く。気持ちのいい日差し、少し風が肌寒いが陽だまりは心地よい暖かさだ。ほんとに今回の旅行は天気に恵まれている。などと上機嫌で散歩をしていたらいきなり雲行きが怪しくなってきた。これがエディンバラの天気。いきなりヒョウとも雪ともいえぬものが降りだした。これがいつもの天気という気もする。急いでザ・ヴォルツのソサエティまで行くも、あいにくメンバーズ・ルーム改装中。数年前に完成したクィーン・ストリートの新しいメンバーズ・ルームを教えてもらった。まだ雨脚は弱くなっておらず歩くには少しキツイので、目の前にあるパブへ。ここは存在は知っていたが、あまりにローカルで入りにくく入った事がなかった。取り合えず雨宿り。昼間からビールという気分でもないのでコーラを注文。周りのお客さんたちはビールをゆっくり楽しんでいる。大半の人はリタイヤした人たちのようだ。こういう光景は豊な光景といえなくもない。現役を退き、散歩したり、パブで仲間と語ったり、夫婦で立ち寄ったりする。一週間ほど前、こちらのTVで日本の熟年離婚の話題をリポートしていた事を思い出した。これがなかなかおもしろく、離婚に至らないためのチェックポイントのようなことをやっていて、例えば奥さんのことを名前で呼んでいるか、などなど、結構笑える内容であったが多くの日本の夫婦の現実って言うのは意外に悲しいということを知った。経済大国にはなったかもしれないが、日本という国に住む人が豊になるのはこれからなのかもしれない。少し晴れ間が出てきた。ホントこの国の天気は気まぐれだ。この気ままな天気、自分とは相性が悪くない。思いつくまま、気の向くままの旅は楽しい。雨が降ったらパブに入ればいい。リースからロイヤル・マイル方面へ。また雨が…パブによったり、そこら辺の店に入ってみたりブラブラしながら1430の待ち合わせに間に合うように歩いていく。歩きながら仕入れのことを考える。考えがまとまって一気に仕入れを済ます。荷物が重いので部屋に一度帰ることに決定。一通りやらなければいけないこともすべて済ませ、すっきりしたところで飲みへ。先ずは、クィーン・ストリートのソサエティへ。古い建物を改装しきれいにして使っている。内装は実にセンスがよく、モダンとクラッシックの良いとこで実にうまくまとまってる。正直、ロンドンのそれよりもスペースも広く良く出来ている。窓からリースの港がかすかに眺め、目の前のクィーン・ストリートを見ながら一杯飲んでいると夕暮れ時になった。部屋の照明もグッと落とされた。次第に人が集まり始めて来た。みんな仕事帰りなのだろう。思い思いの飲み物を片手に花を咲かせている。ここはソサエティだからといっても一階はきちんとしたレストランだし、ワインもある。ロースト・ビーフのサンドウィッチとテンプラニ―リョを注文した。何としても十周年はここのメンバーズルームでという思いを新たにしながら飛び切りのローストビーフ・サンドウィッチとワインを楽しんだ。程ほどお腹かが満たされたところで食後の一杯。やはりハイランド・パークでしょう!あの雨の中のサイクリングを思い出す、ピートをたいている香り、貯蔵庫のかび臭い匂い、などオークニーの風景が思い出される。スモ―キー且つヘザーの蜂蜜のような滑らかさ、塩味、土臭さ。こういうすべてのハイランドパーク的なものが風景と結びつく。だから蒸留所は訪問してみないとわからない。ゆっくり食後の一杯を楽しんだ後、エディンバラの聖地BOW BARへ。ここは知る人ぞ知るエディンバラ一とも言われるオールドスタイルのスコティッシュ・バー。ほとんどのお客は男性35歳以上、女性だけのグループはいない、この手の店にしては比較的狭い店内、いわゆるムサイ店だ。ビールの種類はすごいの一語。所狭しとカウンターに並んだタップは10本以上!ウィスキーも多くそろえていてジンなどもなかなかな品揃えだ。ジントニック一つにしてもジンは何が良いかなどと訊いている。やはりファイヴァリットのIPAを一杯、二杯目の途中でケイデンヘッドのモートラック14年を注文した。隣の40代の男性グループの一人となんとなく話しをする。ここエディンバラでもこのスタイルのパブはめっきり少なくなったようだ。彼のローカル(パブ)も最近はゲーム機や大画面TVを入れて若者が集ううるさい店になってしまったと少し残念そうに語っていた。ゆっくりと素晴らしい時間を過ごし次の店へ。ザ・モルト・シャベルは名前がいいというだけで選んだ。ちょうどライブをやっていて店内は大騒ぎ。しかし最後の曲だったらしくまもなくライブは終了。気がつくと12時近く。鐘がなりラストオーダーの合図。外へ出るとめっきり冷え込んではいたが、ウィスキーのおかげか、あまり寒さは感じなかった。歩きなれたリース・ウォークを宿へと急いだ。2006年2月の旅、最後の夜はこうしてふけていった。 22nd Feb. 〜エディンバラ本日は激しい雨 しかし離陸直前に綺麗な空も見ることが出来て満足。この最後の日記はヒースローから成田に向かう機内で書いている。以下〜今回の旅のまとめ〜 年々ウィスキーに対する関心が高まる中、スコットランドを訪問する日本人のバーテンダーも増えたようだ。私の場合は10年程前に初めて渡英して以来、ウィスキーのためというよりはその国の魅力の魅せられていったバーマンの一人だろうう。スコットランドの人々とのふれあい、気まぐれな天気、などなど、すべてがウィスキーを造る要素であり、今のカスクアンドスティルの根底を流れるものだと思っている。当店もなんだかんだいいながら、来年で10周年を迎える。10年という月日の中で変わったこと変わらないこと様々だと思うが10年という時間は決して長い時間ではないが、一つの区切ではあると思う。ぜひ10周年はクィーン・ストリートのソサエティでお客様と共にささやかでもパーティーを出来きればと思っている。 さて、今回の旅ははじめてスコットランドに行くバーテンダーの後輩を伴っての旅行であった。勿論彼はこの旅行で多くのことを学んでくれたと思う。しかし私にとっても原点を見つめなおさせてくれた旅行になった。スペイサイドの冷たい風に吹かれ、オークニーで雨の中自転車に乗り、グラスゴーやエディンバラのパブでエールやウィスキーを飲み倒す。まさしく聖地巡礼の旅だった。日常のおざなりになっていた仕事に苦言を呈された様な気さえする。スタイルではない本当のパブへ長い時間をかけて作っていきたいと思う。すべてのお客様の御自慢のローカルになれるように! |
今回の旅行にご協力いただいた方々へ…
PRJの営業、マーケティングの方々、わがままなお願いでロングモーンへのアレンジをしていただき、誠に有難うございました。
また、毎度毎度のことながら長期の休業にご理解いただいておりますお客様には心より感謝申し上げます。
Special Thanks
Mr. Darren Hosie (Chivas Brothers)
Mrs. Patrisia Retson (Highland Park Distillery)
Mr. and Mrs. Moar (Bed and Breakfast Kilkwall - Orkney)
...and all of heartwarming Scottish people !