川 本  将 人
2004 Trip to MADEIRA
マデイラ島 旅の日記
〜Madeira Lovers〜

vol.1
                                     

「その琥珀色の液体の入ったグラスを手にとったとき、独特の芳香が鼻をついた。
マデイラだ。しかしその香りは私が知っていたものよりもさらに複雑で優雅だ。
スモ―キーな香り、上質なドライフルーツのような甘味、しっかりとした酸。
長く長く、甘くスモ―キーな香りと重厚な甘さを包み込む流麗な酸味…
いい酒が皆持っている存在感があった。育ちがよく、いい年のとりかたをしている。」

                           ワインスクールに通っていた頃、ブラインドで1950年代のマデイラが出されたときの印象。

このとき以来、いつかはこの魅惑的でミステリアスなワインを作り出すマデイラ島に行ってみたいと思っていた。

「2004 Trip to MADEIRA 〜Madeira Lovers〜」


マデイラ・ワインの故郷への旅


ホテルの部屋からの眺め

テラスで早速日記を…

部屋の冷蔵庫の中で眠っていたマデイラ
かなり古く、忘れられた存在にすら見える


大西洋を行く客船
きっとリッチな老人達が旅をしているのだろう…

マデイラの植物は元気がいい。
葉も厚く色が濃い。南国を感じさせる

フンシャルの町並みはやはりヨーロッパの香りが漂う

地場のビール「CORAL」のケグ

ロープウェイから見たフンシャルの町並み


高台にそびえる教会


宿泊したホテルの近くからの眺め


熟成庫内に書かれたバーベイトのロゴ

カロールの中

あのマデイラ独特なペンキで瓶に直接かかれた風貌はこの工房から生まれる。


クパ・デ・カロール(手前)と清澄のための貯酒タンク


カンテイロ式の貯蔵庫の中

ラボの内部
所狭しと並べられたカスク・サンプルや出荷された商品サンプルの数々。ここの仕事がバーベイトの品質を支えている。


ザルコのお屋敷の裏庭


お屋敷の庭園


民族衣装姿で花を売る叔母さん

修道院の中にあったマリア像



Feb.1(Sun)
<一路ロンドンへ>

飛行機の外に出るといつものにおいが鼻をついた。
何の匂いかわからないけれど独特のそれは石鹸のような気もするし、化粧品のにおいのような気もする。
それにしても今日のロンドンは暖かい。まるで春の雨。先週まで強力な寒波に襲われていたとは信じられない。
今回は明日のマデイラ行きのために中継に立ち寄ったロンドン。宿も近くの空港近くのホテル。
とりあえずチェックインを済ませちょっとロンド中心地のインディアン・レストランに。
ここはパディントンの近く、大変評判のいいリーズナブルなレストラン。それらしいお客さん(インド系の人々)が多く、中はごった返している。活気のある店の雰囲気におされつつ二種類ほどのカレーとナンを注文した。食べ終わる頃にはすっかり満腹になり眠くなったので一路ホテルへ。明日はマデイラ行き。早起きだ。
英国に美味いもの無し。まともな物を食べたかったらイタリアンかカレーかチャイニーズ。これは確かに正しい。しかし今回カレーを食べ終わって感じたのは、美味いものは何処で食べても同じ。それこそ一番TOKYOが美味いかも!?インディアンもロンドンじゃなくて西川口でもよかったような気もした。



Feb.2(Mon)
<ガトウィックからマデイラへ>
フンシャル空港のロビー

ヒースロー空港からガトウィックまで1時間ほど。おなじみのナショナル・エクスプレスのバス。
初めてのガトウィック、どことなく閑散としたイメージの空港。ヒースローから来たせいなのかもしれないけれど人が少ない。しかし予約を取った段階ではマデイラ行きの便は満席に近いという話だった。いったいどんな人々がマデイラに行くのだろう?などと考えながらチェックイン〜ボーディング。これはフルムーンのコマーシャルか!という人々が続々と出発ゲートへ。独特な雰囲気のフライト。おそらく機内では僕は若さでは3本の指に入ったに違いない、と言うよりは一番若かったに違いない。ちょうど11時発の便で昼食は機内食。これがなかなかであった。安っぽいヨーロピアン。ワインはポルトガルワインを期待しつつ赤をオーダー。しかしポルトガルではなくてスペインのナバラのクリアンサで味は元気が良くて好ましいもの。
まもなくフンシャル到着。現地の気温21度、などとアナウンス。眼下に茶色い瓦葺のような屋根のかわいい家が広がり、まもなく着陸。無事に入国審査を終え、タクシーでホテルへ。海岸線を空港からホテルまで走る。この海岸線どこか異国とは思えない妙な親しみが湧く。そうだ!三浦半島か伊豆。なんとも貧弱な旅行経験だ。あとで思えばせめて沖縄と言うべきだった。確かに例の瓦葺の屋根の家の前に狛犬が似合いそう。いざホテルに到着。タクシードライバーの言った数字が早くも分からずあせる。ここは英語の国ではないことを改めて実感。新鮮な喜びだ。思った以上にリゾート気分炸裂のフンシャル。プール越しに大西洋を望める部屋を取ったのは正解だった。ここはヨーロッパのどこかと言うよりは海辺の観光地なのだ。水着を持ってこなかったのが悔やまれる。これから買いに出かけようか?

マデイラMADEIRA…
こんなご機嫌な気候。リゾート気分。
全く不釣合いに思えてしまう今回の目的MADEIRA。夜になってもこいつを飲もうとはあまり思わないような気がする。
産地と特産のワインがとてもねじれた関係にあるように思うのは僕だけだろうか。いやそうでもなさそうだ。その証拠にホテルの冷蔵庫の中にあったMADEIRAは古そうだった。
ピニャコラーダやマイタイの方が美味しく飲めそうな気がする。これから少し町に出かけてその辺も調べてみる必要がありそうだ。


夕食はホテルの近くのレストランにて。マデイラ産のスティルワインを注文したが他のポルトガルワインはあるがマデイラ産は無いとの事。どうやらあまりいいワインではないらしい。最も輸出されることの無いワインなのだからおして知るべしか。この辺はもう少し聞き込みをしてみる必要もありそうだ。結局ワインはヴィーニョ・ヴェルデを注文。久しぶりに口にした爽やかで親しみやすく可愛らしいワイン。上等な味わいではないが料理には合う。料理はマグロのステーキ。いわゆるキャラメライズド・オニオンと白ワインを使ったソース。パンはガーリックバターをはさんだむっちりした食感のもの。このパンが独特の雰囲気を持った優れものでこれだけで十分につまみになる。メインのマグロはなかなか食べ応えがある。ズッキーニ、人参、ジャガイモをたくさん盛り合わせ一皿はボリュームたっぷり。どこか日本の味にも似ていて親しみやすい素朴な味わいであった。



Feb.3(Tue)
<フンシャルを満喫>
大西洋を見つめるコロンブス

朝食はコンチネンタル。たっぷりのピクルスと生野菜で軽く済ませる。
早速、外に出る。今日はケーブルカーでマデイラの山の方まで見物に出かける予定。途中、地図を手に入れるためボトル・ショップ兼みやげ物やの様な店に立ち寄ったところ意外にウィスキーが多いので不思議に思い訊いてみたところコレクター用にボチボチ売れるとの事。こんなところでもウィスキーは投機的な意味で買う人がいるらしく大変驚いた。さて、地図も手に入れケーブルカーで高台へ。ケーブルカーから眼下を見るとかなり道路がくねくねしている。ということはかなり勾配がきついに違いない。15分ほどで到着。気温が下とは明らかに違う。マルヴァジアとセルシアルの違いを肌で感じたような気分だった。立派な教会を見学させてもらい、またケーブルカーにて下界へ。
それにしても強い日差しでカラッとした陽気はサングラス、ティーシャツが似合う。歩き続けていると少し汗ばむくらいだ。そろそろ4時30分位、休憩のために街角のスナックバーへ。ここが面白い店。ワイン加熱用のガロールをインテリアに使った店内。ここではのどの渇きを癒すためにマデイラ産のビールを注文。CORALという銘柄で味わいは苦味の利いたピルスナ―タイプ。切れがあってこの気候にはピッタリ。この店には量り売りのマデイラもあって常連らしき老人が8オンスタンブラーに8文目ほど注がれたそれを引っ掛けていた。さすが年季が入ってる。決して弱い酒ではないマデイラ。ほんの10分足らずで引っ掛けて出て行くとは。地元の人はマデイラはやらないと聞いていたがそうでもないのか!?

マデイラMADEIRA…
今回の目的の一つドルヴェイラへ。圧巻。例のペンキでかかれたボトルがズラリ!!試飲用に3種類ミディアムドライ、ミディアム、スウィートにマデイラケーキがティスティングのセット。この三種類はいずれも酸が綺麗でそれぞれバランスがいい。熟成年数は3年程度なので構成はいたってシンプル。マデイラケーキとスウィートの組み合わせはなかなかなもの。このマデイラケーキにはラムやモルト、アルマニャックなども合いそうだ。一緒に出されたヴィンテージ物のリスト。1800年代後半の物まである。見ているだけでワクワクする。その中から1957オールドワイン表記、1973ボアル、1966ヴェルデリョをティスティング。

今晩は宿泊先の近くのレストランで、野菜のスープとバナナののった白身魚のフリットをいただく。野菜のスープはピーマン玉葱、にんにくなど色々な野菜をピュレにしたボリュームのあるスープでこれはポルトガルではポピュラーな物らしい。メインのお魚料理は「バナナ?」と思うがこれが奇妙にマッチする。まさにマデイラの名物が一堂に会したような一皿であった。温かいバナナが大丈夫な人は是非とも試してみる価値がある。新しい味を発見するに違いない。



Feb.4(Wed)
<BARBEITO社を訪問>
BARBEITO一族のお屋敷の一部
本日はBARBEITOを訪問。住所しかわからないのでホテルを出て街角のタクシードライバーに尋ねる。タクシーには乗せてくれず歩いて行けと。10分程でBARBEITOに到着した。なるほどタクシーに乗る距離ではなかった。ここのロッジは昨日のドルベイラとは違い、観光客を受け入れる体制が整っていると言うよりはワーキングロッジでトラックが行き来しみんなが忙しそうに働いている。中に入って樽の間を抜けアポイントのある旨を告げるとすぐに歓迎してくれた。BARBEITOの三代目リカルドさん、今日色々と案内していただくアメリコさん。リカルドさんは4月の試飲会には日本に来る予定との事。そのときにまたと言うことで忙しそうに仕事に戻られた。早速ロッジのなかをラベル張り工程から案内してくれた。例の柳細工で覆われたおなじみの瓶はあまりにコストがかかるので今後は縮小の方向のようだ。4月ごろからは日本のマーケットでは新ラベルになるとの事。それにしても小さく、少ない人数で運営されていることに驚いた。ワインの過熱熟成に使うがガロール、樽を積み上げてある熟成庫などを案内してももらった。ところであのペンキで書かれたようなあの瓶。最近は機械でかかれることも多いが古いヴィンテージに関しては一本一本手書きで型を当てて書いているそうだ。型はパソコンで作成して、それを瓶に当てて白いペンキをスポンジでパタパタやって書くそうだ。なかなか手間のかかる仕事だ。緑色の瓶がズラリと並んだ部屋へ。ここはラボで熟成中の樽からサンプルを取り、先ほどのリカルドさんがブレンドを決定する部屋だそうだ。様々なサンプルからそれぞれの目的にかなうブレンドを決定し、出荷後は出荷した商品のサンプルを最低2年間はこのラボに保管し品質の管理も徹底している。このラボの仕事はまるでウィスキーのブレンドのような仕事。それぞれの樽の熟成途中のワインの性質を常に理解し、あるものはブレンドへあるものは特別な形で…それぞれの個性に合わせて最終的な製品に仕上げていく仕事はまさにウィスキーのブレンダーに近い仕事だ。さて、ロッジの中を一周り案内してもらった後、車で別の熟成庫へ。ここの熟成庫はBARBEITO一族のお屋敷の敷地の中にある。それぞれこじんまりとした所に湯を循環させて気温を高く保つところ、比較的低温を保つところとそれぞれある。いわゆるガロールはコンピューターで制御され近代的だ。倉庫の近くは、この島独特の花やバナナの木が繁り、花の匂いがムンムンしている。ここでも熟成中のワインはそれぞれ定期的にサンプルが取られ管理されていると言う話が出る。他のワインと違って樽の中での熟成が品質を決定する大きな要素なのでまるで蒸留酒のようにその管理がなされていることが私のような蒸留酒の専門家からすれば非常に面白い。次は近くのサトウキビ加工工場へ。(BARBEITO一族はもとはサトウキビの農場などを所有していた。)ここは少し本筋からは外れるがサトウキビはは島の特産品としては重要な物。マデイラワインとの関係では20世紀初頭から1970年代までの間、酒精強化にサトウキビから作ったスピリッツが使われていた。そして前々から興味があったのが「マデイラにはラムがあるか?」と言うこと。一般的ではないがいくらか作られているらしい。しかし大半はリキュール用の原料スピリッツが大半とのこと。ティスティングした感じでは洗練された感じではないが、素朴な味わいのこのラムはそれなりに魅力的だと思うのだが。ところでこのサトウキビ加工工場の仕事はラム酒作りではなくモラセス、つまり濃縮サトウキビジュースを造ること。残念ながら今はシーズンオフのリペア中であったが繁忙期はサトウキビを満載したトラックがひっきりなしに到着し活気に満ちているらしい。どこのワインロッジを訪問しても必ずと言っていいほど出てくるマデイラハニーケーキ。これを作るのに無くてはならないハニー。これは実は蜂蜜ではなくサトウキビから作られる濃縮シロップのことだった。これは知らなかった。
そして加工工場を後にしティスティングへ。DIOGOSというアメリコさんがマネージャーを勤める酒屋へ。地下にある応接室のような部屋でティスティング開始。ティスティングしながらお話を伺っていたらついこの間も日本からライターの人が来てティスティングしていったとのこと。マデイラも最近いくらか認められてきたのか!?少し嬉しくなってきた。14種類もの長く真剣なティスティングの後、BARBEITO一族のコロンブスに関する収蔵品の数々を見せていただき、仕入れ。最後にアメリコさんお勧めのレストランを紹介してもらいディナーの予約。半日以上お付き合いいただいたアメリコさんありがとうございました。
しばし町を当ても無く散策。
地元の人が多く集まるレストラン。ポルトガルの典型的なレストランのスタイルらしい。立派なバーカウンターも備えたレストラン。ここのメニューは典型的な料理が多くとてもに悩んだ末、名物「干しダラ」をグリルで注文。その他、目に付いた料理は牛肉の料理で串刺しの牛肉をベイリーブの葉で包みグリルしたもの。地元の皆さんはテーブルの上に重たそうなスタンドを立てて串から外しながら食べていた。そんな風景を眺めつつポーチドエッグの入ったトマトスープを頂きながら、ガーリックブレッドをつまみ、アレンテージョの赤をすすっているうちにタラ料理が登場。オリーブオイルとガーリックをたっぷりと使いたくさんの野菜がともに盛り付けられていた。タラはかなり身がしまっていて食べ応えがある。思ったほど生臭みが無いのはガーリックのせいなのか。今まで食べたポルトガルの料理の中では最も重たい一皿であった。最後のデザートは失礼してコーヒーを注文。お勘定の前には小さいグラスに中甘口のマデイラがサービスされた。これはここの店のスタイルらしい。マデイラはやはり身近なワインの一つのようだ。

Feb.5(Thu)
<マデイラに浸る ー 最後の夜>
停泊する豪華客船と町並み
今日は当ても無く町中を散策。特に大きな予定も無いので歩いて狭い道を登り町の中心から少しはずれ住宅地を抜けながら、いくつかの博物館、教会などを見学する。
中でもゆっくりと見学させてもらったのはマデイラ島最初の統治者ザルコが住んでいたと言うキンタ・ダス・クルゼスの館を公開している歴史美術館。美術的なセンスの無い私には何か良くわからないものも多かったが、当時をしのばせるダイニングのセットなどは興味深い展示であった。また、手入れが行き届いているようでそうでもない(!?)庭園は非常にマデイラの気候の良さを象徴しているようで面白かった。英国の庭園を見慣れた者としては、さほど手入れをしなくてもそれなりに木々も花々のびのびと育ち、秩序が少々乱れても日差しが強く、強烈なコントラストを描き出すこの島の光の中ではそれはむしろ好感が持てる。修道院、教会などを数箇所見せていただく。こんなことを言っては怒られてしまうかもしれないが金色や赤、ビビッドな青などを使ったその祭壇はどこか日光東照宮などを思い出させる。いや、むしろそれよりももっともっと派手だ。流石、ラテン。東照宮が「そばつゆ」ならマデイラの教会はやはり「マデイラ・ソース」なのかも知れない。
そろそろ午後5時を過ぎたと言うのに日はまだ高い。ヨットハーバーの横のテラスでお疲れのビールを一杯。勿論、地元の「コーラル」。かつて、遠く大西洋の向うの新大陸に渡ったピューリタンのこと、アメリカのことに思いを巡らした。1795年物のマデイラがそうさせたのかもしれない。しかし考えはまとまらなかった。すべての歴史を傍観してきたワインにいつか聞いてみたいものだ。さて、今夜はマデイラ最後の夜。今夜はゴージャスにミシュランにのっていた「キンタ・パルメイラ」に行くとしよう。
海岸沿いに歩いてホテルのもどろう。日も傾きかけ、Tシャツ一枚では少々肌寒く感じられた。だいぶリゾートの生活にも慣れてきた。
リゾートということでタイはなし。ジャケットのみで出かける。入り口で出迎えてくれたのは礼儀正しい成年。席は屋内とテラスのどちらか聞かれる。やはりリゾート南国だ。もちろんテラス。いささかミーハーかとも思うが初めての土地、しょうがないだろう。早速、メニュを持ってサービス係が登場。食前酒は?と聞いてくる。先ずはシャンペンだ。魚の料理をメインにしてポルトガルの重たい白ワインにする構想を決定。前菜はカジキの燻製にパッションフルーツのソース。メインはボイルドライスを添えた蛸の料理に決定。シャンペンが登場。美味い。ワインリストに目を通す。ゲッ高!グラスシャンペン18ユーロ!美味い筈だ。グラスはルイ・ロデレ―ル一種類のみだった。白ワインは味の感じを伝えてお任せ。ダンの樽のかかったワイン。なかなかいける。シャルドネを意識したつくりなのかプチ・モンラッシェとでも言おうか。アルコール14%の兵。燻製にした料理にも合う。酸も十分でパッションフルーツの酸味にも負けないしっかりとした作り。ポルトガルのワインはまだまだ楽しいものがある。燻製のカジキとパッションフルーツのハーモニーの素晴らしさの余韻を楽しんでワインをすすっているとメインが登場。蛸が実に柔らかく火を通してある。下にひいたライスとの相性もいい。トマトとクリーム系のソースだがどこか慣れた味だ。感動的な美味しさというよりは、素朴な味わい。美味しい。デザートはなしでチーズ。三種類が乗ったお皿はフルーツなども盛り合わせてあり華やかだ。食後酒はダンのマールを、初めての経験だ。無色透明であることから熟成はされていないことが分る。思ったほど強烈なアルコール臭はなくこなれている。マール・ド・ブルゴーニュほど干草のニュアンスがなく、やさしく穏やか。なかなか好感が持てる逸品。チーズはハード系2種、ブルー系1種だった。どれも個性的な味わいで初めてのチーズだった。すべてポルトガルのものだそうだ。コーヒーをいただいてチェック。いいかげんご機嫌になりホテルに帰ってZZZ…

夢のようなマデイラに囲まれた至極のティスティング!?
地下に用意されたティスティング用のボトル。
階段を下りていく途中でもマデイラの香りが漂っていた。

ティスティングしたサンプルの数々 

素晴らしい奥深い味わいと複雑性を持った秀逸なマデイラ。
1834年物のバーベイトのマルヴァジア。
とてつもなく長い時間を経ているにも関わらず今だ上品で綺麗な酸がある。この島のワインがいかに長命であるかを感じさせてくれた素晴らしい逸品。

かなり長い時間をかけてティスティングさせていただきました。