Behind the BAR | ||
2002 Trip to SCOTLAND スコットランド 旅の日記 〜Whisky suidcide vol.2〜 |
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2002年4月15日号 |
「2002 Trip to SCOTLAND 〜Whisky suicide〜 vol.2」 | ||||
15 Feb. Islay --- Edinburgh 朝8時50分にボウモアを出発。コーチ、フェリー、コーチと乗り継いで、エディンバラに到着したのは夕方6時半近く。 今回の旅で最も長い移動となった。3年ぶりのエディンバラ。何もかもが懐かしい。いつもここへ着くと迎えてくれるブリュワリ―の香りも健在だ。宿は常宿のピルリグ・ストリートのゲストハウス。重い荷物を抱えての道のりは長いものの、リーズナブルな料金と居心地の良さには変えられない。 さて、荷物を置いて早速、ソサエティーへ。リストを見ながら…やっぱり、アイラから来たのだからアイラ?いや最初はスペイあたりから…などと考えることしきり。まずはコーヒーか!!カウンターでオーダー、"Excuse me!"と声をかけたら「日本人の方ですか?」と???よく見れば確かに東洋人らしきスタッフ。よくよくお話を伺えば日本人スタッフ。僕も驚いたけど、向こうも驚いた様子。日本人のスタッフの方に会うのは初めてと告げると、彼も日本人のゲストは初めてと言う。なんだか不思議である。昨今のウィスキーブームでソサエティーの会員数は増えているはずなのに訪れるメンバーは少ないと言うことか。 とにかく、3年前とは明らかに変わったのが、旅をして日本人に出くわす事があるようになったこと。 やはり、ウィスキーはブームと言うか、メジャーになりつつあるのだろうか。 16 Feb. Edinbugh 朝からロイヤルマイル方面へ。 いつもの事ながら、あらゆる物の調達に追われて時間が過ぎる。一日中歩き回りクタクタ。気がついてみれば夜になっていた。 週末の夜は何処も満員。一人旅を続ける者としては寂しくなる。良さそうなレストランを見つけても一人では入れない。 ア―。寂しい。という事で、グラスゴーに出かけてみる。思ったよりもすっかり様変わりして… グローバル化したというのか、ハイカラになったと言うのか。なんだかね〜。 ところで、世界中の何処の街角にもスターバックスとマックを作るのがグローバル化なんですかね〜。 ちょっと、考えさせられる一日。しかしなんだかんだ言っても、スタバを利用してしまう自分が悲しい。 17 Feb. Visitting Crief 今日は少しばかり朝から小雨がちらほら。結構歩くかもしれないし、初めての場所なので雨は少し気が重い。乗りなれた Scottish City Linkのバスでパースへ。パースからはローカルなバスでクリーフからは…行ってみないとわからない。 運良くエディンバラを出発してすぐに気持ちのいいスコットランド晴れ。 クリーフの町からやっぱり歩かされました、町中から。およそ20分程、一面芝生の風光明媚なところをテクテク。 看板の矢印は近そうに見えるのだけど、行った事の無い所だから余計に長く感じてしまう。道に迷っているのではないかと不安にも思うし。 今まで見せてもらった蒸留所とは一味違う、その様子。日本でいえば、観光バスが必ず立ち寄る甲府あたりのワイナリーみたい。 じじばば、カップル…観光客ばかりで一人で乗り込んだ、ウィスキースペシャリストはいささか場違いな感じ。 ともあれ無事見学を済ませ、ティスティング。ここで、£2.30払って飲ませてもらったカスクの12年とオフィシャルの18年はうまかった。詳細はディスティラリーリポートで。 さて、帰りはパースで一杯やって、という計画だったのだ、ところが、この町、日曜日のせいもあるのだろうけれどもなんだか静かで、今ひとつ。少し、キースっぽい。(キース=スペイサイドの"今は昔"的な町) という事で、一路エディンバラへ。 結局、ローズストリートのお気に入りのパブへ二軒行って、開店したばかりのワインバーを発見しここへ。 大当たり。プロヴァンスのヴィオニエで始まって、OZのシラーズを二杯頂きながら、クルミとスティルトンのパテ オートケーキ添え、ブラックオリーブのオリジナルマリネ―ド、仕上げは本格的なカフェラテ。どれも、ワインはたっぷり、料理もコーヒーもたっぷりの量で、以上しめて日本円で3,000円と言ったところ。良心的なお店だな。私もがんばらねば… それにしてもおかしなもので、ワインを覚えてからと言うもの週に一回はワインを飲まないと落ち着かない。でもやっぱり、ワインは一人で飲む酒じゃないな〜。 ところで、おいしいワインと料理で大満足。やたらニコニコ変な客だったんだろうな。 18 Feb. Visitting Glenkinchie 本日は、まず始めにRoyal Mile Whiskyで商談。思いのほか商売熱心なようで、比較的シッピングコストも抑えられビールのシッピングもさほどいやな顔をせずに引き受けてくれた。この分だと今後も好い取引が出来そう。 さて、商談もうまくまとまり、午後からグレンキンチ―へ。インフォメーションでも言われていたように、バスの終点からは30分弱歩かされる羽目に。毎度の事ながら、いいかげんな看板を頼りに、寂しい一本道を歩いてゆくのは意外に心細い。 ところで、ローランドの蒸留所は初の訪問。思った以上に他の地方とは違う風景に幾分、新鮮な思い。緑の美しい一面の草原が続く中にぽつんとあらわれるその蒸留所は穏やかな印象。荒波のしぶきがかかる、アイラの蒸留所や、いかにも谷間の偏狭に立つスペイの蒸留所とは雰囲気を異質なものとしている。ファームハウスが似合うのんびりとした風景。 ただ、風景がおおらかだからと言ってその酒質も短絡的に穏やかな物だと決めてはいけない。この蒸留所のモルトはローランドの中ではスモ―キーなニュアンスが強く、決して言われているほど軽くは無い。今一度、考えなくてはならないと思うのは、必ずしもローランドは軽い、とは言えないと言う事である。つまり単純にワインの産地がその特性を現すように、ウィスキーも産地がその特徴を表すかのような錯覚はそろそろ見直したほうがいいだろう。詳しいことは、Distillery Repotで。 帰りは少し雨が降り始め、今回の旅行初めての雨の中の歩き。正直、あまりいい気分ではないがこの天気の悪さも無くてはスコットランドに来た気がしない!? エディンバラに戻る頃には雨も止んで、最終日の取ると言うことでパブクロール開始。「今日は、エールはカスクコンディションのみで、夕食はパブご飯。」をテーマにローズストリートからグラスマーケットまで飲み倒し。夕食はビーハイブインで。マッシュポテトを添えた一品を。やはり、本格的レストランを抱えるパブだけあってその味わいは素晴らしい。でも、マッシュポテト、C&Sも同じ味。自信を深める。(少し自慢) BOW BAR。今回ジャケットを買ったブティックのスタッフに教えてもらった、エディンバラで最もトラディショナルなスコティッシュバー。確かに…さすがです。数々のカスクコンディション、さりげなく並んだモルトの数々。やはり年齢層は高め。今風の店とは全く違う、BGMも無い、昔風のいい店に久々に酔いしれた次第。こういう店はいつまでも無くならないでほしいと願わずにはいられない。 やっぱりいいね、エディンバラ。本当にいい町です。本日もご機嫌で帰宅です。
19 Feb. To LONDON from EDINBURGH 初の試みでスコットランドを周ってからロンドンに入るというコース。逆の場合に比べ、イングランドとスコットランドの違いを如実に感じる。田舎と都会の差と言ってもいいのかもしれない。始めにロンドンから旅をスタートするとやっぱり日本とは違うなと言う実感とともに、外国にいる充実感を感じるが、スコットランドからロンドンだと東京と大差が無くてなんだか損した感じ。 ま、仕事のためにロンドンに立ち寄るのだからしょうがない。ただの観光だったらロンドンなんか来ないよな〜。 到着後、早速なじみの酒屋をチェック。何処も在庫はあまり大差が無い。むしろロンドンの酒屋は割高感があって、今ひとつ取引する気になれない。ワインの種類は確かに多い。また、オールドヴィンテージも多数在庫しているが、シッピングを考えるとどうだろうか。ビジネスとしては全くうまみが無さそうである。やはりワインでおいしい商いをするのは難しそうである。ソサエティーロンドンメンバーズルームへ。ヴォルツのメンバーズルームとは打って変わってモダンなインテリア。両方に言ったことのあるメンバーはその違いを楽しめて、大変楽しいコンセプトだと思う。しかしロンドンメンバーズルームはそのインテリアだけでなく雰囲気が違う。これもまたモダンな印象。言ってみれば、日本のモルトの多いモダンなバーとあまり変わらないかも。 パブは確かにカスクのビターはうまい。しかし、個人的な好みでは、カスクのIPAや80の方が味わいが複雑で高品質な印象を受ける。 どうしても、スコットランド贔屓になってしまうのは旅行してきたばかりだからだろうか? 20 Feb. LONDON 本日は、ビジネスの一日。ウィスキーエクスチェンジを訪問し商談。 それにしても怪しいインド系英国人のオーナー。何でそんなにウィスキーのコレクションに熱心なのか少し不思議。とにかく、受けの良さそうなウィスキーを幾つか見つけて商売的には上出来 。帰りにピムリコ界隈を散歩して良さげなパブへ。IPAを一杯だけ楽しんで、一仕事して帰路へ。最後の一仕事でローズのライムジュース探しへ。フォートナムアンドメイスンであっさり見付け、送料の交渉。思ったより高い送料で交渉決裂。とりあえずサンプルで日本だけ持ち帰ることに。どこかのインポーターでレギュラー商品化すれば一商いできそう。 やはり、大都会ロンドンは、スコットランドとは違いビジネスライク。ついでに、ミルロイにも立ち寄り軽く商談。 次第に仕事モードに嫌がおおにも戻されてゆく…最後がロンドンなのは良いのか、悪いのか。 まとめ!!今回の旅で思ったこと。 情報技術が発達し、効率のいい流通や超高度なデータの情報化に注目が集まる昨今だからこそ人間が大切に思えてならない。結局、美味しいウィスキーも、意心地のいいパブも人間が作り、人間が利用する。 日本に帰ったらこの辺から、もう一度、「豊かな空間」について考えてみたいと思う。 いつもの事だが、英国で教えられた事を煩雑な日本の生活の中で、無くしてしまう事がないように大切にもって帰りたいと思う。 そして日本で今この原稿を作りながら… 「何が高度情報化社会だ!! パソコンなんて大嫌いだ!! 結局、果てしなく人間に優しくない機械を相手に、仕事は増えるばかり… 本当に、世の中は便利で、豊かになっているんだろうか???」 と呟いている川本である。 |
at Pub...2![]() 実に気高く、質実剛健。 そのBARの歴史を尋ねれば、軽く90年程という。 まだ若くて言うのも恥ずかしいと言わんばかり。 確かに、この国ではね。 すぐにGLASGOWで見つけた100年以上前のバー・ミラーの話が始まった。 時間の流れが違う。 決して豪華ではないけれど、何故こんなに豊かになれるのだろうか。 BARを営む者の端くれとして、やはりSCOTTISHに学ぶことは多そうである。 |
今回はこれにて。それではまたの機会に…![]() |
![]() 酒学入門 講談社サイエンティフィック |
主にお酒の製法を中心とした、酒の理科系な側面の入門書。高度に専門的にならず、様々なお酒の製法を丁寧に、且つ、わかりやすく解説しています。一杯飲みながら「へぇ〜、こんなふーに作るんだ。」と感心しながら読むのも悪くないかも知れません。 |